蛇口まわりの白い水垢は、放っておくほど固くなり、見た目だけでなく操作部の動きや吐水にも影響します。ここでは水道修理の現場目線で、家庭で安全にできるもっとも再現性の高い掃除方法をまとめました。素材を傷めず、効率よく落とすコツと、再発を防ぐケアまで解説します。
見出し
水垢が落ちない理由とまず知っておきたい基礎知識
水垢の正体とやりがちな失敗

水垢は水道水に含まれるカルシウムなどのミネラルが乾いて固まったアルカリ性の無機汚れです。中性洗剤や力任せのこすり洗いだけでは落ちにくく、メッキを傷つける研磨剤入りのクレンザーや硬いスポンジは避けます。アルカリに対しては酸で中和が基本。酢やクエン酸が効果的です。
蛇口の材質と注意点
一般的なキッチンや洗面の蛇口は真鍮にクロムメッキが多く、酸で長時間放置すると曇りや変色の原因になります。石材カウンターや鉄部に酸が付くとシミや錆の恐れがあるため、養生と拭き取りを徹底します。酸性洗剤と塩素系漂白剤は絶対に混ぜないことも基本です。
用意する道具
クエン酸粉末または食酢、スプレーボトル、キッチンペーパーやラップ、ゴム手袋、やわらかいスポンジ、古歯ブラシ、マイクロファイバークロス。必要に応じて輪ゴム、ゴム手袋や輪ゴムは固着部の分解時に滑り止めとして役立ちます。
失敗しない基本の掃除手順

クエン酸水の作り方
水に対してクエン酸を薄めの濃度で溶かします。目安は水二百ミリリットルに小さじ一杯弱。酢を使う場合は水と酢を一対一で作ると扱いやすいです。スプレーできる容器に入れ、汚れ部分へ均一に吹きかけます。
パックとやさしいこすり洗い
キッチンペーパーを密着させてからラップで覆い、乾かないよう十分に湿った状態を保ちます。軽い汚れは十分程度、固い鱗状は三十分前後置き、古歯ブラシで流れ方向にやさしくブラッシング。メッキ面は力を入れ過ぎないのがコツです。
すすぎと拭き上げ
放置後は水でよく洗い流し、仕上げにマイクロファイバーで完全に拭き上げます。成分が残ると曇りや再付着の原因になるため、ここは丁寧に。油汚れが混ざるキッチンでは、事前に中性洗剤で軽く脱脂しておくと酸の効きが安定します。
吐水口の水垢は分解掃除が効く

泡沫器の外し方のコツ
吐水口先端の泡沫器(整流器・ストレーナ)に水垢が詰まると、吐水が斜めに出たり弱くなります。多くは先端部を反時計回りに回して外せます。滑る場合はゴム手袋でグリップを確保。樹脂部を割らないよう金属工具は避けます。
つけ置きと清掃
外した部品はクエン酸水に二十分ほどつけ置きし、網目を歯ブラシでやさしく清掃します。固着が強いときは新しい泡沫器に交換すると流量や水はねが改善します。パッキンの向きは外した時と同じに戻し、異物がないか確認します。
再組立と漏れ確認
組み戻したら水を出して漏れと吐水方向をチェック。パッキンが噛んでいると滲みやにじみが出ます。軽く締め直して解消しない場合は部品交換を検討しましょう。
頑固な水垢や混在汚れへの対処
濃度と時間の調整
白い結晶が厚い場合は濃度を少しだけ上げ、点で集中的にパックします。それでも残る突起は、爪で弾くように方向を変えながら少しずつ落とします。メラミンスポンジは微細研磨なので、メッキ面では目立たない場所で試してから短時間で。
油汚れやカビが混ざるとき
べたつきが強いキッチンは先に中性洗剤で脱脂、黒ずみは水気を切ってからクエン酸で湿潤し、歯ブラシで届く範囲のみを軽くこすります。酸と重曹を同時に混ぜると中和して効果が落ちるため、順番を分けるのが安全です。
やってはいけないこと
金属ヘラで削る、強い酸を長時間放置する、酸性と塩素系を併用する、メッキ面に研磨剤を使う——これらは変色やピンホール腐食の原因です。迷ったら濃度を下げ、時間を短くして様子を見ます。
再発させない日常ケア
使うたびのひと拭き
水垢は乾燥とともに育ちます。使用後に水滴を拭き上げる習慣だけで付着が激減します。特に根元や継ぎ目は溜まりやすいので意識して。
週一のリセット
週に一度、薄いクエン酸水をシュッと吹き、三分ほど置いて拭き取り。吐水口は月一で分解清掃すると、トラブルの芽を摘めます。
環境に合わせた対策
井戸水や硬水気味の地域では付着が早い傾向があります。掃除間隔を短くし、仕上げの完全乾拭きを徹底しましょう。整流器の消耗やカートリッジの劣化が疑われる場合は、型番を控えて適合部品に交換します。
まとめ
蛇口の水垢は酸で中和して湿らせて落とすのが基本。まずは安全な濃度のクエン酸水でパックし、吐水口は分解清掃で詰まりを解消します。仕上げに丁寧な拭き上げと定期ケアを続ければ、輝きと使い心地を長く保てます。
ご家庭での対応に不安がある、固着が強くて落ちない、分解が怖い——そんな時は無理をせず専門業者にご相談ください。水漏れや部品破損を防ぎつつ、最短で安全に復旧します。