
キッチンや浴室の排水溝から突然水が逆流すると、大量の汚水と嫌な臭いで大慌てになりがちです。逆流は放置すると床や家具を汚損させ、カビや害虫を招く恐れもあります。
本記事では、水道修理の現場で年間数百件以上の対応を行う専門家の立場から、排水溝逆流の原因、応急処置、自分でできる対策、プロへの依頼目安、そして再発を防ぐ予防策までをわかりやすく解説します。読了後には、ご自宅の状況を的確に判断し、被害を最小限に抑える行動が取れるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
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排水溝逆流の主な原因
排水管・パイプの詰まり
排水溝が逆流する最大の理由は排水管やパイプ内部の詰まりです。髪の毛や石けんカス、キッチンの油脂がヘドロ状に固まると水の流れが塞がり、水は行き場を失って上がってきます。軽度の詰まりであっても、水位が一度上がると一気に逆流して床を濡らすことが少なくありません。
配管の老朽化・損傷
設備の老朽化や破損も大きな要因です。配管にヒビが入ったり排水枡が沈下して傾くと、本来スムーズに流れるはずの水が滞留し逆流を引き起こします。築年数が二十年以上経過した住宅では、目に見えない地下配管のジョイント部が劣化しているケースが多い点に注意が必要です。
台風など外的要因
台風やゲリラ豪雨で下水本管が満水になると、家側の配管を押し返す形で逆流が起こる場合があります。このケースでは複数の排水口から同時にゴボゴボ音がするのが特徴で、屋外のマンホール蓋が浮き上がっているとさらに危険度が高まります。
応急処置と自分でできる対策
水のうで一時的に止める
今まさに床が水浸しになるほど逆流している場合は、ゴミ袋を二重にして半分ほど水を入れた「水のう」で排水口を塞ぐと一時的に逆流を止められます。バスタオルや新聞紙で周囲をガードすると床を守れますし、感電を防ぐために電源タップ類は必ず高い位置へ避難させてください。
ラバーカップやワイヤーで詰まりを除去
詰まりが原因と考えられるときは、ラバーカップや真空式ハンドポンプで負圧を掛けて汚れを押し流します。髪の毛が主因なら針金ハンガーやパイプ用ワイヤーブラシで絡め取るのも効果的です。ポイントは「押すより引く」動作で、汚れを手前に引き抜いたあと勢いよく水を流すことです。
お湯+洗剤で油汚れを溶かす
油脂や皮脂のヘドロには四十〜五十℃のお湯に台所用中性洗剤を混ぜて流す方法が安全かつ有効です。熱湯は配管を変形させる恐れがあるため避けましょう。排水管用のアルカリ洗浄剤を使用する場合は、取扱説明書を読み、換気と手袋着用を徹底してください。
プロに依頼すべきケースと費用目安
自力対処が難しい症状
複数箇所で同時に逆流する、床下や屋外から悪臭が続く、配管が金属音を立てる、といった症状は屋外配管や共用縦管のトラブルが疑われます。自力で触れない場所のため専門業者への依頼が必須です。放置すると排水管の破裂やシロアリの発生にまで発展する可能性があります。
高圧洗浄・カメラ調査の費用相場
高圧洗浄機による管内洗浄は戸建てで一万五千〜三万円、マンションの専有部で一万〜二万円が相場です。管内カメラ調査や配管交換を伴うと五万〜二十万円程度まで上がりますが、配管交換後は耐久性の高い塩ビパイプに更新できるため長期的な安心につながります。
業者選びのチェックポイント
見積もりは無料か、出張費が事前提示される会社を選びましょう。また水回り資格(給水装置工事主任技術者など)の保有や施工保証期間を明示している業者だと安心です。口コミの星数だけでなく、工事写真や作業報告書の有無もチェックポイントになります。
再発を防ぐ予防とメンテナンス方法
封水を維持する
最も簡単な予防は封水を切らさないことです。使っていない排水口でも週に一度はコップ一杯の水を流し、悪臭と虫の侵入を防ぎましょう。とくに洗濯パンやベランダ排水は忘れがちなので、スマホのリマインダーを設定すると便利です。
キッチン・浴室・洗面所別の掃除習慣
キッチンでは油汚れをキッチンペーパーで拭き取ってから洗い、月一回は重曹とクエン酸のナチュラル洗浄で管内をリセットします。浴室は毎晩髪の毛キャッチャーを掃除し、皮脂はパイプクリーナーで月一回溶かすと効果的です。洗面所の詰まりは化粧品カスや歯磨き粉の結晶が主因のため、週一回のブラシ洗浄が有効です。
便利グッズと定期清掃
防臭ゴム付き排水トラップや簡易ストレーナーなど市販のグッズも活用すると、日常の手間を減らしつつ逆流リスクを抑えられます。排水管清掃の定期契約(年一回程度)はマンション管理組合でも導入が進んでおり、個人宅でも三万円前後で利用できますので検討すると良いでしょう。
まとめ
排水溝の逆流は「詰まり」「設備劣化」「外的要因」のいずれかを正しく見極め、適切な応急処置と清掃を行えば多くの場合は落ち着かせられます。日常的な予防を習慣にすることで再発確率も大きく下げられます。とはいえ逆流が止まらない、何度掃除しても再発する、悪臭がきついなど不安を感じたときは、無理をせず水道修理の専門家へ早めにご相談ください。