シャワーの勢いが弱い…。そんなときはいきなり買い替える前に、原因を切り分けてから安全に対処するのが近道です。本記事では水道修理の現場視点で、自分でできる改善と業者に任せるべきケースをわかりやすく解説します。
なお、水圧は住まいの配管や給湯器、建物方式(直結/高架水槽)など複数要因で決まります。まずは簡単なチェックから始めましょう。
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シャワーが弱いと感じたら最初に確認すること

ヘッドやストレーナーの目詰まり
シャワーヘッドの噴板や、ホースと混合水栓の間にあるストレーナー(小さなフィルター)にサビや砂が溜まると水の通りが悪くなります。ヘッドを外して歯ブラシで孔をやさしく掃除し、ストレーナーも水洗いしてください。カートリッジ式の除塩素モデルはカートリッジの寿命も要確認です。
止水栓・元栓の開き具合
洗面台下や浴室の混合水栓側面にある止水栓が閉まり気味だと水量が制限されます。マイナスドライバーで少しずつ開け、流量を見ながら調整しましょう。建物の元栓が部分的に閉まっているケースもありますが、共用部にある場合は管理会社へ相談してください。
給湯器の能力・設定
瞬間式給湯器には号数(1分間に作れるお湯の量の目安)があり、世帯人数や同時使用数に合っていないと湯量不足になります。給湯温度だけを上げても水圧は上がりません。古い機種や故障の兆候(シャワーだけ弱い・温度が安定しない)があれば点検を検討しましょう。
自分でできる「安全に水圧を上げる」具体策

ヘッドを清掃・交換する(低水圧対応・エア混合タイプ)
清掃で改善しない場合は低水圧対応シャワーヘッドに交換を。噴孔を微細化したり空気を混ぜて水滴を大粒化する仕組みで、実際の水圧を無理に上げずに当たりの強さ(体感水圧)を高めます。節水と両立できるモデルもあります。
止水栓を適正化し、ホースの折れ・漏れを点検
止水栓を開けても改善しないときは、ホースの折れやナット部の漏れで流量が失われていることがあります。接続部のパッキン劣化も定番原因です。手で増し締めし、必要ならパッキンを交換します。同時使用を避ける・使用時間帯をずらすと体感が改善することもあります。
シャワー専用フィルターの洗浄と混合水栓の切り替え
サーモスタット混合水栓は内部のカートリッジや逆止弁の動きが悪いと流量が低下します。取扱説明書に従いフィルター清掃を行い、温度調整ハンドルを一度全開→元に戻すと改善することがあります。無理な分解は避けましょう。
それでも弱いときに考える設備・建物由来の要因
集合住宅の給水方式と増圧の可否
マンションの高架水槽方式や古い直結管路では、階数や配管経路で到達圧が不足することがあります。住戸単位での家庭用増圧ポンプは騒音・逆流・共用部の規約などの問題があるため、原則として管理組合の承認が必要です。自己判断での設置は避けてください。
老朽配管・バルブ不良・漏水
長年使用した配管では錆こぶの閉塞やバルブの固着、見えない微小漏水で水圧が低下します。単独の蛇口だけ弱いなら局所不良、家中で弱ければ幹線側の可能性が高いと推測できます。
給湯器の能力不足と交換目安
家族が増えた、浴室とキッチンを同時に使うシーンが増えたなど生活パターンの変化で号数不足が顕在化します。16号→20号といった上位号数への更新で湯量が安定することがあります。設置スペースやガス種の適合は必ず確認しましょう。
よくある誤解と避けたいNG行為
ノズル穴を塞ぐ・テープで改造は危険
噴孔をテープで塞ぐと局所的な内圧上昇や逆流の原因になります。水栓や給湯器を傷めるリスクがあるため絶対にやめましょう。
「節水=高水圧」ではない
節水シャワーは水量を抑えつつ体感を上げる工夫をしている製品が多いですが、物理的な配管水圧が上がるわけではありません。期待値を正しく理解し、目的(節水/当たりの強さ/ミストなど)で選びましょう。
温度設定だけ上げても水圧は上がらない
出湯温度を上げても吐水圧は変わりません。むしろ高温・低流量は給湯器の燃焼制御上不安定になりやすいため注意が必要です。
業者に相談すべきサインと当社の対応

相談の目安
家中で弱い/ヘッド清掃や止水栓調整でも改善しない/使用中に脈動する/湯だけ極端に弱い——こんな時は設備起因の可能性が高く、点検がおすすめです。賃貸の場合はまず管理会社へご連絡ください。
点検・修理の流れと費用感
現地で配管の圧力と流量、混合水栓・給湯器の動作を点検し、原因を特定します。パッキン交換やストレーナー清掃などの軽微作業で済むことも多く、必要に応じて部品交換や機器更新をご提案します。費用は症状と部材により変動します。
まとめ
シャワーの水圧低下は、ヘッドの目詰まりや止水栓の状態、給湯器の能力など身近な原因で起こります。まずは清掃・調整・同時使用の見直しから試し、改善しない場合は設備の点検へ。急な症状やご自身での作業が不安な場合は、無理をせず当社へご相談ください。