床下の水漏れや赤水、水圧の低下、水道料金の上昇が見られると、給水管・給湯管の交換が必要か気になる方も多いでしょう。
交換費用は、戸建て・マンションの違いだけでなく、部分修理か全面引き直しか、配管が床下・壁内・地中のどこを通っているか、床や壁をどこまで復旧するかによって変わります。安さだけで工事内容を決めると、別の場所で漏水し、再工事が必要になることもあります。
この記事では、工事方法別の費用相場、交換を検討する症状、費用を左右する条件、見積もり時の注意点を解説します。
給水管・給湯管の交換費用を左右する3つのポイント
- 漏水箇所だけを直すのか、配管全体を引き直すのか
- 配管が床下・壁内・地中のどこを通っているのか
- 床や壁の解体・内装復旧がどこまで必要なのか
同じ「配管交換」でも、この3点の条件によって工事の規模はまったく異なります。まずは金額を断定する前に、なぜ費用に幅が生まれるのかを理解しておきましょう。
給水管・給湯管の交換費用相場
給水管・給湯管の工事は、大きく「部分修理」「部分交換」「全面引き直し」の3つに分けられます。どの方法を選ぶかによって、費用も、その後の再発リスクもまったく変わります。
部分修理・部分交換・全面交換の費用の違い
| 工事方法 | 工事内容 | 適しているケース | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 部分修理 | 漏水箇所や継手だけを補修する | 劣化が一部に限られている | 約1万〜5万円(床や壁の開口が必要な場合は10万円前後) |
| 部分交換 | キッチンや浴室など、一部区間の配管を交換する | 劣化した範囲を特定できる | 約15万〜30万円(範囲が広くなると50万円前後) |
| 全面引き直し | 古い配管を使わず、新しい配管ルートを設ける | 築年数が古い、漏水を繰り返している | 約30万〜80万円(内装復旧を含めると100万円前後になることも) |
※上記はいずれも一般的な目安です。配管の長さ、施工ルート、内装復旧の範囲によって金額は前後します。
注意したいのは、水漏れが起きたからといって、必ず全面交換が必要になるわけではないという点です。劣化が一部にとどまっているなら、その区間だけを直すことで費用を大きく抑えられます。
一方で、住宅全体に古い金属管が残っている場合は、一部分だけを直しても、同じように劣化が進んだ別の場所から再び漏水する可能性があります。配管は同じ時期にまとめて施工されており、劣化の進み方も似ているためです。数万円の補修を数年おきに繰り返すよりも、一度で引き直したほうが結果的に安く収まるケースもあります。
費用の安さだけで判断するのではなく、配管全体の状態と、今後その住宅にどれくらい住み続ける予定なのかを踏まえて、工事範囲を決めることが重要です。
戸建てとマンションで費用が変わる理由
戸建ての場合(目安:屋内全体の引き直しで約30万〜80万円)
- 屋内の配管だけを交換するのか、屋外や地中の配管まで交換するのかで費用が大きく異なります。道路から敷地内へ引き込む給水管の工事まで含める場合は、別途30万〜50万円程度が目安です
- 床下に作業員が入れる構造の住宅であれば、床や壁を大きく壊さずに施工できる可能性があり、その分費用を抑えられます
- 基礎やコンクリートの下に配管が埋まっている場合は、掘削作業や、別ルートでの引き直しが必要になることがあります
- キッチン、浴室、洗面所、トイレなど、水まわり設備の数が多いほど配管の総延長が長くなり、工事範囲も広がります
マンションの場合(目安:専有部分の全体の引き直しで1住戸あたり約15万〜30万円)
- 室内の「専有部分」と、建物全体で使用する「共用部分」を分けて考える必要があります
- 上記は配管工事のみの目安で、床や壁の内装復旧や工事の規模、水道メーターの位置により30万〜50万円程度になるケースもあります
- 専有部分の配管工事であっても、管理会社や管理組合への事前申請が必要になることがあります
- 床下や壁内のスペースが限られているため、施工ルートの取り方によって費用が変わりやすい傾向があります
- 階下への漏水が発生している場合は、修理業者だけでなく、管理会社や、対象の保険に加入している場合は保険会社にも早めに連絡してください
点検を検討した方がよい症状と費用が高くなる条件
「まだ交換すべきか分からない」という段階の方に向けて、点検を検討すべき症状と、費用が変動する条件を整理します。
給水管・給湯管の点検を検討するサイン
次のような症状が見られる場合は、配管の点検を検討してください。
- 蛇口から赤色や茶色の水が出る
- 複数の蛇口で水圧が弱くなった
- 水を使っていないのに水道メーターが動いている
- 使用量が変わっていないのに水道料金が上がった
- 床や壁、天井に湿りや水染みがある
- 給水管の表面に錆や腐食が見られる
- 給湯用の銅管に緑青や小さな穴が見られる
- 一度修理した後、別の場所から再び漏水した
ここで重要なのは、築年数だけで交換の必要性を判断しないことです。配管の材質、使用環境(水質や凍結の有無)、これまでの漏水履歴、目視できる劣化状態を組み合わせて、総合的に判断する必要があります。同じ築年数でも、劣化の進み方は住宅ごとに異なります。


交換費用を左右する主な条件
① 交換する配管の範囲
- 給水管だけを交換するのか、給湯管も同時に交換するのか
- キッチンだけか、浴室や洗面所まで含むのか
- 一部分だけか、住宅全体を引き直すのか
範囲が広がるほど、材料費や人件費(人工)、必要な日数が増え、総額が上がります。
② 配管が通っている場所
床下、壁内、天井裏、地中、コンクリートの下、建物の外側を通す露出配管——どこを通っているかで、作業の手間はまったく変わります。床や壁を大きく解体せずに別ルートへ引き直せる場合は、工期や復旧費を抑えられる可能性があります。ただし露出配管にする場合は、見た目の問題に加えて、保温や凍結対策も確認しておく必要があります。
③ 床や壁の復旧範囲
見落とされやすいのが、内装の復旧費です。フローリング、壁紙、下地、コンクリートなどの解体・復旧にかかる費用は、開口箇所が増えるほど膨らみ、配管工事費と同等かそれ以上になることもあります。見積もりを比較する際は、この費用が含まれているかを必ず確認しましょう。
④ 現在の配管状態
漏水箇所がすでに特定できているのか、複数箇所で腐食が進んでいるのかによって、必要な調査の内容や施工範囲が変わります。なお、交換後の配管には、腐食しにくく施工性の高い樹脂管などが使用される場合があります。
給水管・給湯管の交換工事で後悔しないためのポイント

現地調査から交換工事までの流れ
- 水道メーターや水圧を確認する
- 床下、壁内、パイプスペースなどを調査する
- 漏水箇所と配管全体の劣化状態を確認する
- 部分修理と全面引き直しのどちらが適しているかを判断する
- 新しい配管ルートを決める
- 配管を設置し、通水検査・漏水検査を行う
- 必要に応じて床や壁を復旧する
工事中は、既存の配管から新しい配管へ切り替える際に断水が発生します。確認しておきたいのは、工事期間そのものよりも、実際に水やトイレを使用できない時間帯です。事前に打ち合わせておくことで、生活への影響を最小限に抑えられます。

部分修理か全面交換かを費用だけで決めない
- 劣化が一部分に限られていれば、数万円程度の部分修理で費用を抑えられます
- 配管全体が同じ時期に設置されている場合、別の場所でも同様に劣化が進んでいる可能性があります
- 修理を繰り返すと、そのたびに漏水調査費や床・壁の復旧費が発生し、結果的に引き直しの費用を上回ることもあります
- 数年以内に建て替えや大規模リフォームを予定している場合と、長期間住み続ける場合とでは、適した工事内容が異なります
- キッチンや浴室のリフォーム予定がある場合は、配管交換を同時に行うことで、解体・復旧作業をまとめられ、総額を抑えられる可能性があります
なお、現地調査もせずに「すぐ全面交換が必要」と高額な工事を勧めてくる業者には注意が必要です。全面交換が常に正しいわけではありません。短期的な費用と、長期的な再発リスクの両方を比較したうえで判断しましょう。
見積書と依頼先で確認すること
見積書では最低限、次の項目を確認してください
- 給水管・給湯管のどの範囲を交換するのか
- 使用する配管の種類
- 配管工事費に含まれる作業内容
- 床や壁の解体・復旧費
- 廃材処分費や諸経費
- 追加料金が発生する条件
- 工事期間と断水時間
- 工事後の保証内容
「工事一式」とだけ書かれた見積書では、何にいくらかかっているのか判断できません。項目ごとに金額が分かれているかを確認しましょう。
依頼先を選ぶ際は、次の点も確認しておくと安心です。
- 給水管工事に対応できる水道局指定給水装置工事事業者(水道局指定工事店)か
- 現地調査を行ったうえで、書面で見積もりを提示するか
- 部分修理と全面交換の両方を比較して説明してくれるか
- 工事後の保証や再対応について説明があるか
- 電話で安い金額だけを強調せず、追加費用が発生する可能性も説明するか
給水管・給湯管の交換に関するよくある質問
給水管と給湯管は同時に交換した方がよいですか?
必ず同時に交換する必要があるわけではありません。ただし、同じ時期に設置された配管で両方に劣化が見られる場合や、床・壁を開けて工事する場合は、同時に交換した方が、将来の解体・復旧費を抑えられる可能性があります。
水漏れしている部分だけ修理できますか?
劣化が一部分に限られていれば、1万〜5万円程度で漏水箇所だけを修理できる場合があります。一方、古い金属管が住宅全体に残っている場合や、過去にも別の場所で漏水している場合は、全体の引き直しも含めて比較検討する必要があります。
給水管・給湯管の交換工事中は水を使えますか?
新しい配管へ切り替える時間帯は断水が必要です。ただし、工事が複数日にわたる場合でも、その間ずっと水が使えないとは限りません。工事前に、断水する時間帯と、トイレやキッチンを使用できる時間帯を確認しておきましょう。
マンションの配管交換費用は誰が負担しますか?
室内の専有部分は区分所有者、共用部分は管理組合が負担するのが基本です。ただし、どこからが共用部分にあたるかはマンションによって異なります。工事を依頼する前に管理規約を確認し、管理会社や管理組合へ相談してください。
まとめ|給水管・給湯管の交換費用は配管の状態と工事範囲を確認して判断しよう
給水管・給湯管の交換費用は、部分修理なら約1万〜5万円、部分交換で約15万〜30万円、住宅全体の引き直しでは約30万〜80万円と、工事方法によって大きく変わります。さらに、戸建てかマンションかという違いだけでなく、配管が通っているルートや、床・壁の内装復旧の範囲が総額を左右します。
一時的な安さだけで判断せず、漏水の再発リスクや今後の居住期間も含めて検討することが大切です。水漏れ、赤水、腐食などの症状が見られる場合は、被害が広がる前に現地調査を依頼しましょう。見積もりや説明では、交換範囲、復旧費、追加料金、保証内容までしっかり確認してください。