排水マス(排水枡)の水漏れは放置すると地盤の陥没や悪臭、隣家への流出に発展することがあります。ここでは水道修理の現場目線で、原因の見きわめ方と応急処置、業者に依頼したときの修理方法と費用感までをわかりやすく解説します。
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排水マスの水漏れで起きる症状と主な原因
起きやすいサイン
屋外のフタ周りが常に湿っている、庭の土がふかふかして沈む、擁壁やブロックの隙間から汚水が染み出す、室内で逆流や悪臭がする——これらは排水マスや直近の排水管で漏れや詰まりが起きている合図です。
よくある原因
原因の多くはコンクリート枡の経年劣化によるひび・穴あき、枡と配管の継ぎ目のズレ、木の根の侵入、地震や凍結による破損などです。古い住宅ではコンクリート製が使われていることが多く、年数が経つと水がしみ出しやすくなります。
自分でできる初期確認と応急処置
安全にできる点検
まずは枡のフタをゆっくり持ち上げ、内部の水位と汚れを確認します。上流側から水を流してどの枡で水が溜まるかを見ると、問題箇所の目星がつきます。台所枡は油脂が白く固まっていることが多いので、トングやスコップで固形物だけをすくい取り、袋に入れて処分します。
応急的にできること
枡内のゴミを取り除いたら、ホースの弱い水圧で壁面や配管口を洗い流します。エルボ(L字の部品)が外れて落ちていれば、口が下向きになるよう奥まで差し込みます。業務用の強力な高圧洗浄や薬剤の大量投入は逆流・破損の原因になるため避けてください。漏れが疑われる間は洗濯や長時間の入浴など大量排水を控えると被害を抑えられます。
やってはいけない例
強酸・強アルカリ剤の多用、配管を針金で無理に突く、周囲の床や土間をむやみに壊すと被害が拡大します。枡の底に穴が見える、土が流れ込んでいる、擁壁から汚水が出るなどは早急に専門業者へ相談してください。
業者が行う主な修理方法と費用の目安
ひび・穴あきへの補修
軽度の破損で枡自体の寿命が残っている場合は、ひび部をモルタル等で部分補修します。応急的には有効ですが、劣化が進んでいると他所から再発しやすく、根本解決は交換です。
枡の交換(コンクリート→塩ビ)
現在主流の塩ビ枡は気密性・耐久性に優れ、木の根も入りにくいため、交換で再発防止が期待できます。相場感は1か所4〜5万円前後ですが、深い位置にある、周囲のコンクリートをはつる、複数個所を同時に交換する等で費用は上振れします。状況次第では10万円を超えるケースもあります。

併発しやすい配管の修繕
枡の破損時は隣接する排水管の勾配不良や破損が見つかることがあります。必要に応じて配管の交換・勾配調整や、詰まりが主因なら高圧洗浄やカメラ調査を実施します。戸建ての高圧洗浄は2〜3万円前後が一般的です。
依頼の判断基準と修理の流れ
すぐに依頼すべきケース
擁壁や塀からの滲み出し、庭土の陥没、蓋を開けると底に大きな穴が見える、隣地側へ水が流れている——これらは被害が広がりやすく、早期の点検・仮止水・工事が必要です。
点検から完了までの一般的な流れ

①現地調査(水位確認・構造確認・必要に応じカメラ)→②見積りと工事内容の説明→③作業(掘削・撤去・新規枡設置・復旧)→④流れと漏れの最終確認→⑤再発防止のアドバイス。業者選びでは水道局指定・実績・口コミ・対応速度をチェックし、できれば相見積もりを取りましょう。
管理区分の注意として、敷地内の排水枡・排水管は基本的に所有者の管理対象ですが、道路際の公共枡は自治体の管理です。公共枡側の不具合が疑われる場合は役所の下水道窓口に相談するとスムーズです。
また、台所の動物性油脂や石鹸カス、洗濯糸くず、浴室の髪の毛が長期間にわたり堆積すると、配管内でヘドロ状の層を作って流れを阻害します。流れが悪い状態で大雨が重なると、枡の継手から漏れやすくなるため要注意です。
費用の考え方は「基本料金」「掘削・撤去・設置などの作業費」「材料費」「産廃処分費」「舗装やコンクリートの復旧費」の合計です。深さや周辺の舗装の種類、重機の可否、同時に交換する個数によって増減します。見積りでは作業範囲と復旧方法、追加費用の発生条件を事前に確認しましょう。
予防と再発防止には、年1回の点検清掃、台所で油を流さない、枡の近くに樹木を植えない(既存の樹木は根切り・防根シートを検討)、大掃除時の簡易洗浄などが効果的です。築年数が古い住まいでは、ひびが多いコンクリート枡を計画的に塩ビ枡へ更新していくと、将来の維持費を抑えられるケースが多いです。

もし見積り金額に不安があれば、写真や図面、気づいた症状の時系列をまとめてセカンドオピニオンを取りましょう。地域相場や施工方法の妥当性が確認でき、不要な工事を回避できます。
まとめ
排水マスの水漏れは、早く見つけて正しい手順で対処すれば多くが短期間で解決できます。まずは安全に点検し、無理はせず専門家に相談してください。放置は悪臭・逆流・地盤沈下・近隣トラブルにつながります。緊急時やご自身での対応に不安がある場合は、いつでもお気軽にご相談ください。